膝に「水」が溜まるのはなぜ?</p>
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皆さんこんにちは。</p>
暑い日が続きますね・・・。連日の猛暑に私も少々バテ気味ですが、もうすぐやってくるお盆休みに向け体調管理に余念がありません。ベストコンディションで夏休みを迎えようと思っております。</p>
今回のブログのテーマの「膝に水が溜まる」ですが、特にこの時期に多いというわけではないのですが、8月に入ってから数名の膝に水が溜まった患者さんが来院されていますのでテーマにしてみました。「膝に水・・・・」はどなたでも耳にされたことがあると思いますが、これは一体どういうことなのか、何が原因かなどをお話ししていこうと思います。
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膝の「水」の正体は〇〇〇</p>
人間の多くの関節(形状などによってこれに該当しないものもあります)は膝に限らず「関節包」という袋状の組織に覆われています。その関節包の中は「滑液」という液体があり関節の動きをスムーズにする役割を持っています。この「滑液」が「水」の正体であり、いわば潤滑油として膝に限らず多くの関節包内に存在します。したがって、「膝に水が溜まる」=「膝の関節内の潤滑油の量が増える」ということになります。
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なぜ潤滑油の量が増えるの?</p>
体にある可動する関節(肩や肘、膝、足首など)にはいわゆるセンサーが付いており、24時間関節の状況を監視してくれています。お散歩やお仕事、スポーツなどで身体を動かしている時は古くなった潤滑油を吸収し、新しい潤滑油を補充するという働きが活発になります。逆に夜寝ている間などはこの働きは緩やかになります。</p>
この働きが正常に行われている間は何ら問題はないのですが、関節の動きに何か異常が認められた場合センサーが脳にその異常の報告をします。「膝のセンサーですが、どうも関節がスムーズに動きません」。すると脳は「それは潤滑油の量が足りないんじゃないの?」と判断します。膝のセンサーは「了解しました!潤滑油を補充します」といって潤滑油の量を増やします。しかし異常が改善されないことをセンサーが再度脳に報告すると「まだ足りないんだよ。もっと増やしなさい」「了解しました。補充します」。こんなやり取りが何度も繰り返されることで関節包内の潤滑油の量がどんどん増えてしまう訳です。</p>
このように脳は関節の動きに異常をきたすとそれは全て「潤滑油不足のせい」と判断してしまうのです。当然のことながら潤滑油不足が原因でなければ関節包の許容量いっぱいになるまで潤滑油を出し続けて「膝が痛い」「膝が曲がらない」「膝がパンパンに腫れている」となる訳です。
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関節の動きに異常をきたす原因は何?</p>
皆さんは膝に水が溜まった経験がありますか?アスリートのように過度の運動や、旅行などで普段あまり身体を動かさない方が急に長距離、・長時間歩行したりした際にみられることが多くありますが、やはり一番多いのは高齢者の方です。一般的に関節は「靭帯」という組織が支えてくれていますが、膝関節は人体の関節の中で最も負荷の多い関節といわれており、靭帯だけではとても支えきれません。そこで靭帯のサポートをしてくれるのが「大腿四頭筋」という腿の筋肉ですが、年齢を重ねるごとに筋肉量は低下していき、関節をささえることが十分にできなくなっていきます。すると関節は不安定となり本来の関節の動き以外の「動揺」という動きを始めます。これが「関節の動きがスムーズでない」とセンサーが感じる最も多い原因なのです。
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「水を抜くとクセになる」はホント?</p>
では溜まってしまった水はどうしたらいいのか。当院では患者さんの訴える症状によって治療法を判断しています。例えば「痛くて足が着けない」や「じっとしていてもズキズキ痛んで夜も眠れない」といった方には整形外科を受診し注射器で水を抜いてもらうことをおすすめしています。多くの場合痛みは大幅に減少し「嘘みたいにすっきりした」という方がほとんどですが、「でも水を抜くとクセになるっていうじゃない」とよく質問されます。潤滑油は関節包の容量がいっぱいになるとそれ以上は出てきません。しかし水を抜いて関節包に余裕が生まれるとまた脳が「潤滑油を補充しろ!」と命令を下しまた潤滑油の量が増えていき関節包の容量がいっぱいになるまで補充します。決してクセになっているわけではなく「動揺」が改善されなければ脳はいつまでたっても潤滑油不足のせいにしますから減って増えてを繰り返すのです。よって水を抜くこと自体には何ら害はありません。
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整骨院ではどんな治療をするの?</p>
前項でお話しした通り、当院では痛みの強い方には整形外科への受診をおすすめしていますが、「最近どうも膝の曲がりが悪い」、「足全体が重く感じる」、「よく見たら腫れぼったい」のような症状の方には、十分に検査を行い、筋力低下が原因で起きる関節の動揺が原因であると判断した場合は、EMS治療器による大腿四頭筋訓練を行っています。これは水を抜くという「対症治療」ではなく、大本の原因である関節の動揺を改善する「根本治療」となり、長年苦しめられてきた膝痛から開放されたと喜んでいただいた患者さんが多くいます。</p>
「歳だからしょうがない」とあきらめずに是非ご相談ください。